日本の田舎では非常に多くの田んぼが見受けられ、生活の一部となって数多く存在しています。
「田んぼがいっぱい!田舎やなー!」
田んぼがたくさんあると一般的にはよく「田舎」と結び付けられるんですが・・・ちょっと待ってください。
たしかに田舎の代名詞的な存在なんですが、実は田んぼって人が作り出した凄い機関なんですよ。
田んぼはお米が採れるとか田舎の象徴だけでなく、その存在自体が自然環境にとても良い働きを行っており、廻りまわって私たちの生活を支えてくれている凄いヤツ。
今回の記事では、田んぼが自然環境に及ぼす主な影響をまとめていきたいと思います。
良い面がほとんどですが、中にはちょっぴり悪い面も・・・・。
※個人の考えが存分に含まれています。
洪水が起きないようにする
耕された田んぼの土は目が細かく、土に水がしみ込んでもすぐには流れず、ゆっくりじんわりと地下に流れていく特性があります。
くわえて田んぼは”あぜ”で囲まれていますよね。この二つの特性から田んぼは一時的に水を貯留(ちょりゅう)する働きがあります。川にはゆっくり、地下にはジンワリ流れていく・・・そんなイメージ。
勿論流れていくだけではなく、蒸発等もしたりしているので様々な還元方法で水を放出しています。
また同様の事は畑にも言え、畑の土も水を貯めやすい構造をしているので、一時的に水を貯留する働きをしています。
大雨が降った時でも川の水が溢れない事があるのは、こういった田んぼや畑の特性が大きく関わっているんですね。
仮に田畑が存在しなければ、雨水が貯蔵されることなくそのまま垂れ流しになるので川の水位はどんどん上昇し、今より格段に洪水被害が起きる事になります。
では、日本全国の田畑は大雨が降った際にどれだけの量の水を貯蔵できるのか?
一説によると日本全国の水田に貯蔵できる水の量は50億㎥と言われており、実に東京ドーム4000杯分に相当するとのこと。
※日本学術会議『地球環境・人間生活にかかわる農業及び森林の多面的機能の評価について(答申)』(平成 13年11 月)及び関連付属資料
すっごい貯めれるんだね!
川の流れを安定させ、地下水を綺麗にする
よく「湧き水」と言われ綺麗な水を放出している場所が身近にあるかと思います。特に夏場の山でコンコンと流れる湧き水は冷たく、味も良くて暑い中飲むととっても美味しいですよね。
僕の家の近所にある「二条関白蘇生(にじょうかんぱくそせいのいずみ)」という湧き水が出る場所では、わざわざ県外から湧き水をペットボトルで採りにきたりして・・・ちょっとした観光スポットになってたりもします。
では、この湧き水の正体ってご存じでしょうか?意外と「どこから流れてくるの?」と聞かれたら言葉に詰まる人も多いんじゃないかと思います。(僕はそうでした・・!)
凄く分かりやすく解説されているサイト様がありましたので、以下引用させて頂きます。
地面に染み込んだ水がいくつもの地層でろ過され、水を通しにくい層の上で地下水として流れます。この水が地形などの影響で、人工的な力を加えることなく地表に吹き出てきたものが湧き水です。つまり、地下水と湧き水はまったく異なる水ではなく、地下水が湧き出ると湧き水といわれるようになります
出典: krala water _湧き水は飲めるの?その仕組みや原理・各地の名水を紹介!
人の手を加えず、地下水が自然に溢れ流れているのを「湧き水」と呼ぶんですね。
では、田んぼとの関係性とは。
田んぼや畑に蓄えられた水の一部は少しずつ時間をかけて土に吸収されていき、やがて地下水になります。
引用文にもある通り、その過程で地層によってろ過され水を綺麗にしていくんですね。
いうなれば、天然のろ過装置。ろ過され綺麗にコされた水は、やがて飲み水になったり、生活水になったり・・
最終的には私たちに多大な恩恵を与えてくれます。
また田んぼに貯留された水は排水路を経由して川に徐々に流されて還元されていきます。
田んぼの水位を調整する働きがある排水路ですが、少しずつ田んぼから水が排出されることによって川の流量を安定させる働きもあるんですね。
言うなれば小さなダムということか!
地盤沈下、土砂崩れを防ぐ
雨によって地下水が作られるというお話をしましたが、急激に地下水が増えれば地盤沈下や土砂崩れの原因になってしまいます。「ゆっくり時間をかけて」というのが重要で、手入れをしていない田んぼだと土が粗いので土が水を通しやすく地下水は急激に増加します。
逆に耕されて日頃から手入がされている田んぼは土が細かく水を通しにくいので、いわば田んぼに水が溜まりやすい状態。土を通過し、地下にはゆっくりと雨水が流されていきます。
これにより、地下水の流れは緩やかな状態を保てるようになり、急激な増水を防ぎ結果的に土砂崩れが起きにくくなる・・・ということなんですね。
また、田んぼに水が張っている状態のおかげで風や雨が直接土に当たり傷つけるのを防ぐ為、下流に土が流出するのを防いでくれる働きもあります。
田畑で作物を作るということは、川や海を守る事にも繋がっています。
気温を調節する(暑さを和らげる)
水田には暑さを和らげる効果があります。
まず、水田から発せられる水分の蒸発や作物の蒸散によって空気が冷やされます。
この冷やされた空気は気温上昇を抑える効果があり、更にこの冷たい空気が風によって運ばれ、都市近辺にも流されて市街地の温度上昇を抑える効果があったり。
田舎は一般的に涼しいイメージがありますが、田んぼが多いから涼しいという事が言えるかもしれません。
多様な生物のお家
夏場の水田は様々な生物のお家になり、カエルやオタマジャクシ、トンボ、蛇や蜘蛛、鳥・・・本当に多様な生き物たちが暮らしています。土の中の微生物だってそうです。
彼らは豊かな自然環境の象徴であり、食物連鎖によって生態系の均衡を保つ働きがあります。
例えば土の中には有機物を分解する微生物がいて、その微生物を食べる小魚がいて、小魚を小鳥が食べ・・・
蜘蛛は稲の害虫を食べ、カエルは蜘蛛を食べ、カエルは蛇に食べられ・・・
全ての生物は食物連鎖という自然界の大きな括りで繋がっています。
どれか一つの種が増えすぎても駄目だし、減りすぎても駄目だし・・まさにバランスが大切。
彼らがたくさん生息している田んぼは、豊な土地の象徴でもあります。
中には蛍やメダカ等、以前より数が大きく減ってしまった生物もいますが、こういった生物達が暮らしていける田んぼを作るのも、自然米を作る我が家では大切だと考えています。
我が家の田んぼ付近では未だに蛍が見られるので、ありがたい事に毎年蛍の光を鑑賞する事が出来ています。
田んぼは人が作り出した「自然界のサポーター」
以上が自然界における田んぼの役割でした。
田舎=田んぼ
というイメージが一般的にはあるかと思いますが、手入れがされている田んぼが豊富に存在するという事は、それだけ日本の国土が豊かで安全である・・・と、裏を返せば言えるのかもしれません。
田んぼ=豊な土地
この記事を読んで田んぼに対するイメージをちょっとでも変える事が出来たら幸いです。
【番外編】ただし、田んぼの存在全てが自然にとって良い事ばかりでは無い
これまで田んぼアゲな記事を書き綴ってきましたが、実は自然環境にとって良くない面もあります。
それは農薬や化学肥料による環境汚染。
詳しくはこの記事では触れませんが、少しだけ例を挙げると・・・
主に化学肥料や農薬、除草剤による地下水への汚染、プラスチックカプセルの流出、地球温暖化等、その影響は多岐に渡ります。
農薬や化学肥料の開発があったからこそ、大量生産が可能になり、除草など一部の重労働が緩和され、人類の農耕は大きく発展してきました。しかしそれと引き換えに、長い年月をかけて地球環境がジワジワ破壊されているのも事実なのです。
自然や生命は、世界、宇宙・・・大きな輪の中で絶えず循環しています。。
生命の食物連鎖、自然の循環。その中には当然人も含まれているので、必ずそのツケはいつか廻ってきます。
田んぼは田舎の象徴、自然が豊か、空気が綺麗等・・・環境に対して良いイメージがたくさんあります(実際そうです)が、もう少し深い所まで突き詰めて見ると・・・実は知らないだけ、もしくは目を背けているだけで良くない面がたくさんあるのも事実なのです。
我が家は無肥料・無農薬でお米を作っています。
無肥料・無農薬でお米を作るという事は、人の健康もそうですが地球の健康にも配慮した農法だと、我が家では考えています。
人も地球も安心安全。これこそが我が家の目指すお米作りなのです。
長くなりそうなので、また別の機会で記事が書けたらいいなぁ!
終わり。
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